がたんと立ち上がり、シャルツは興奮して続けた。
「氷の宰相に雪解けをもたらすとは、いったいどんな女なんだ? 酒場で働いているんだもんな。美人か? グラマラスだと尚いいな。はかなげで危うげな未亡人、どうだ?」
「見事ですね、少しもかすりません。私の言葉であの方を形容するなどおこがましい限りですが……強いて言うならば、無垢で愛らしい天使のような女神です」
「聖女か! 聖女系ヒロインもいいな!」
ここにフィアナがいたら、「あんたたちは誰の話をしているんだ」と半目になって呆れただろう。兄弟同然に育っただけあって、根っこは同じ。エリアスとシャルツがひとたび砕けて話し出せば、途端に突っ込み役を必要とするのである。
「いいな。いつかちゃんと、紹介してくれよ」
気さくに笑って、王はそんなことをのたまう。まったく気軽に言ってくれる。そのように苦笑しつつ、エリアスはにこりと微笑み、
「ええ、もちろん」と頷いた。