「この部分と、この部分。再検討の余地があると、私が考える箇所です。あとは一度持ち帰って、検討いただけますでしょうか。……式典に関しては、儀典室がプロです。良い案が出てくることを、期待しておりますよ」
呆けた顔のまま、ギルベールはエリアスから書類を受け取る。その目は明らかに、「目の前に座る、このエリアス・ルーヴェルトの皮をかぶったナニカは誰だろう」と本気でいぶかしんでいた。
対して、男は歓喜していた。いや、ギルベールに負けず劣らず驚愕していたが、それ以上に狂喜乱舞していたのだ。
(ルーヴェルト宰相が……、ルーヴェルト宰相が、丸くなっている!!!!!!)
長い冬が明けて春が訪れたような喜びに、男はそのように胸の内で叫んだのだった。