しかも狭い柱の陰で、二人の体はぴたりと寄り添っている。ほぼ、エリアスに抱きしめられていると言ってもいい。抗議をしようにもフィアナの口はエリアスの大きな手で塞がれ、その手の暖かさすら心臓の鼓動を早くする。
そのとき、ふたり分の足音と、話し声が外から聞こえた。
「ほう。ここなら、聖堂全体を見渡せるな」
「ええ。当日は兵を2名ほど、配置するのがよろしいかと」
どうやら警備隊のようだ。上官とその副官と思しきふたりが、欄干から下を見下ろしながらあれこれと意見を出し合っている気配がする。
「長くなりそうですね……」
フィアナを抱きしめるエリアスの力が、ほんの少し強まる。
フィアナは、エリアスの呟きに頷くことも、首を振ることも出来なかった。ただただ、それどころではなかった。