目を吊り上げるフィアナに、エリアスはくすくす笑う。そこには、先ほど一瞬だけ彼が見せた翳りはない。一応、元気を取り戻したのだろうか。そのように安心しつつ、フィアナは嬉しそうにこちらを見下ろすエリアスにしっしっと手を払った。
「ほら、何かいいものを見せてくれるんですよね。いつまでも立ち止まってないで、早く登ってください。いい加減つかれたので、このまま回れ右して帰っちゃいますよ?」
「なんと! それはよかっ、いけません! さあ、フィアナさん、どうぞこちらへ。私がお姫様だっこをして差し上げなくてはっ」
「え、いや、早く先に進んでもらうための口実っていうか、本当に疲れたわけじゃなくて……待って、あの、ほんとに歩けま、いや」
みぎゃぁぁぁあ、と。
哀れな悲鳴が、細い階段に響いたのだった。