「だって、寂しかったんですよ! ていうか、フィアナさんは私がひと月も音沙汰もなかったのに、少しもさみしくなかったんですか!?」

 くわりと顔を上げて、フィアナを見るエリアス。――だが彼は、フィアナの顔を見た途端、「え?」と間抜けな声を上げた。

「さみしくなんか、なかったですよ」

 これ以上は表情をみられたくなくて、顔を背けながらもごもごと答える。それでも――ほんの少し、たった一欠けらだけ、抱いてしまったこの気持ちを隠すことはできない。

「だけど、毎日静かで……エリアスさんほど、しつこく絡んでくるひともいなくて。少し、物足りないかなとは、思いましたよ」

 となりでエリアスが息を呑んだ気配がする。

 あーあ、と内心でため息を吐きながら、フィアナは苦笑する。次にあったら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに、こんなことを言って、エリアスを喜ばせてしまってどうするというのだ。

 だから素直になるのはもうおしまい。そう思って、エリアスへと顔を向けたフィアナだが――無理やり表情を作るまでもなく、真顔になって彼を見下ろした。