テーブルの片隅には書籍や冊子が乱雑に置かれ、眠る前まで読んでいたであろう形跡が残されていた。

(相変わらず勉強家だな……)

そっと近づくと、政宗の綺麗な顔が飛び込んでくる。

大好きな顔。
ずっと見ていたい。

そんな風に思った瞬間、政宗の目がパチッと開いて小春は飛び上がるほど驚いた。

「うわぁぁぁっ!」

「……いや、驚きすぎ。むしろ驚くのはこっちだと思うんだけど?」

「だって急に目が開いたからびっくりして」

「死んでる訳じゃないんだから」

そう言って政宗は苦笑し、小春は恥ずかしくて顔を赤らめた。

「ええっと、ここは政宗くんの家?」

「そうだよ」

「えっと、えっと、……何で?」

「覚えてないんだ?」

「……ごめんなさい」

「優也には電話しておいたよ」

「す、すみません」

終始小春は平謝りだ。
記憶がない上に政宗の家にお泊まりし、あげく兄にまで連絡されているなんて迷惑をかけすぎているし立場がない。

だが、焦る小春すらも可愛いと思える政宗は、起きたからといってすぐに小春を帰したくはない。手を出さなかった分、今日くらいは小春を独占してもバチは当たらないだろう。