──政宗くんだぁーい好き
頭に残る甘ったるい声は政宗を捕らえて離さない。政宗くん、政宗くんと、小さい頃からずっと変わらず名前を呼んでくれる。
「……でもそれは兄としてだろ?」
小春が政宗に甘える態度は、優也に接するときと同じようなものだった。小春は政宗のことを男性として見ていない。信頼はされていると思うが、それは兄としての信頼だ。だから今日だってノコノコと何も疑いもせず着いてきたのだろう。その信頼を裏切るようなことはしたくなかった。
「……俺も、好きだよ」
それは女性として。
妹のような存在ではなく、一人の女性として好きだということを、政宗はようやくはっきりと自覚した。
けれどその言葉が小春の耳に届くことはなかった。
頭に残る甘ったるい声は政宗を捕らえて離さない。政宗くん、政宗くんと、小さい頃からずっと変わらず名前を呼んでくれる。
「……でもそれは兄としてだろ?」
小春が政宗に甘える態度は、優也に接するときと同じようなものだった。小春は政宗のことを男性として見ていない。信頼はされていると思うが、それは兄としての信頼だ。だから今日だってノコノコと何も疑いもせず着いてきたのだろう。その信頼を裏切るようなことはしたくなかった。
「……俺も、好きだよ」
それは女性として。
妹のような存在ではなく、一人の女性として好きだということを、政宗はようやくはっきりと自覚した。
けれどその言葉が小春の耳に届くことはなかった。