「政宗くん、だぁーい好き」

甘ったるい声で囁きながら抱きつく小春の顔は幸せに満ちていた。ぎゅうっと抱きついたまま、離れる気配はない。むしろそのまま寝てしまいそうな勢いだ。

「……小春?」

政宗が小春をほどこうとするも、小春の腕に力がこもり動けない。

「……こら、彼氏に誤解されるぞ」

「えー?しないよー。大丈夫だもーん」

「……帰ろうか?」

「帰っちゃやだ。もっと一緒にいたい」

こんなに積極的な小春は初めてで、だからこそこれはあの食前酒のせいなのだと、政宗は頭を抱えた。まさかこんなに酔ってしまうなんて思いもよらなかった。

政宗の胸に頭をスリスリと寄せる小春はまるで小動物のように可愛らしい。見ていると思わず笑みがこぼれるくらいだ。

「……じゃあ家来る?」

冗談半分言ってみただけなのに、小春は目をキラキラさせながら更に政宗にしがみついた。

「政宗くんのお家行く」

「……あのさ小春、俺も一応男だよ?」

「知ってるよー。政宗くんだぁーい好き」

「……っとに、襲っても文句言うなよ」

「ん?なーに?」

ぽわんぽわんする小春とは対称的に、政宗は更に頭を抱えて一人呟いた。

「はぁ、あとで優也に怒られるかな。あと彼氏か……」