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政宗が予約した和食のお店は中庭が見えるような造りの個室で、高級感溢れたその店構えに小春は胸をときめかせた。

成人のお祝いだからと、政宗がエスコートしてくれることにもテンションが上がる。

なにより、二人で夕食を食べるということ自体が初めてで、嬉しさが溢れ出て顔のにやけがおさまらないでいた。

目の前にはお刺身と八寸、そして小さなグラスが置かれていた。

「これは何?」

「食前酒だよ」

「えっ、お酒?」

「小春は二十歳になったんだから、もう飲んでもいいと思うけど。苦手なら飲まない方がいいよ」

「あ、そっか。私二十歳だ」

そっと口を付けると、ほのかな梅の香りが鼻を抜けた。

「うわぁ、何これ、美味しい」

「食前酒だけでこんなに喜ぶなんて、小春らしいね」

政宗がクスクス笑い、小春は少し恥ずかしくなる。

もう立派な大人なんだから、もっと清楚で上品に振る舞おう。そう誓うも、目の前に運ばれてくる美味しそうな料理を前にすると、いちいち感嘆の声が出てしまい、その度に政宗に笑われるのだった。