「……小春は人気者なんだな」

政宗は自分の気持ちを抑え、精一杯大人な対応をしようと感心しながら言うと、小春はえっへんと胸を張った。

「私はおにぎり屋の看板娘ですから」

その姿はもう子供の頃の小春ではなく、立派に成人した大人な小春だった。もちろん仕草や口調など、子供の頃から変わらないものもたくさんあるが、自分の知らない小春がここにいるんだと気付かされ、少しだけ政宗は小春を遠くに感じた。それは成長という意味では喜ばしいことだが、政宗にとっては寂しく感じるものだった。

「そのお菓子の山は何?」

ショーケース越しからでも見えるごっそりと詰まれたお菓子の山が気になり、政宗は小春に尋ねる。

「ああ、これ?えへへ、常連さんたちが成人のお祝いだって、持ってきてくれたの」

「じゃあ俺も何かプレゼントを持ってくるべきだったかな?」

「え~、いらないってば」

小春は照れながらも遠慮して笑った。
その笑顔は屈託がなく、政宗にはとても愛しく映った。