お腹はまだ空かなくとも時間は進む。

今日は大変な一日だったけれど、家族そろって食卓を囲んでいた。

「お姉ちゃんはさ、いつ結婚するの？」

妹の言葉に両親も私をジッと見る。

「付き合って随分長いんじゃないか。相手の方は結婚する気はあるのか？」

夕方は話に入って来れなかった父から威圧感をにじませた声がかかる。

相手の方と言うのは、10年間付き合っている同い年の裕ちゃんこと江角裕一郎のことだ。

学生の頃にしていたファミレスのバイトで知り合い、長年続いた気の合う友達から彼氏と彼女の関係になった。

付き合う事になって家族に彼氏として紹介した時には「結婚はすぐには許さない」なんて言っていたのは父なのに。

甥や姪が次々と結婚して孫まで生まれたことで、変な焦りが生じたのかもしれない。