ルーカスに手を引かれ、ランドール家の馬車に三人で乗り込む。ガタリと揺れて、だけど走り出した車内は微かな振動があるくらいで穏やかなもの。
 向かう先は王城、城門を通り抜けると停車したいくつもの馬車から正装した男女が降り立つ姿が見えてきた。さすが王族の誕生祭だけあって、もうすでににぎやかで華々しい雰囲気が漂っている。

 招待客は国内貴族の子息子女を中心としているはずだけれど、主役であるアンナマリア王女殿下も近く学園に入学されるご予定で、そろそろ社交性を磨くため近隣諸国の王侯貴族も招かれているという噂。

 会場はとても華やかで、わたしが参加するようになってからの三度のうちでも最も豪華に見える。大きなシャンデリアに美しい絵画や花々が飾られ、なんともきらきらしい空間に目が回りそう。

「さあ、行こうか」

「はい」

 左隣ではお兄様が微笑み、右隣ではルーカスが腕を差し出す。わたしは自然と浮かんだ笑みのまま、その腕に手を添えて歩き出した。