それから、星を眺めたり、児童公園に立ち寄ったり・・

普通に歩けば15分で帰れるのに、あたし達が家に着いたのは、学校を出てから40分後だった。


「じゃぁ、また」


さすがにお腹が減った。

早く家に入ろうと、あたしが挨拶もそこそこに門の閂に手をかけると、同じく自分の家の門を開けかけていた航平が、ごく自然に言った。


「じゃぁ、またあとでね」

「え?」


いつもの事だと分かっているけれど、空腹でイライラしているあたしは、思わず眉をひそめて航平を見た。


きっと凄く嫌そうな顔をしている。

でも、全く気に留めたふうじゃない航平は、あたしの顔を見て吹き出しただけだった。


「ひなこ、折角の可愛い顔が台無しだよ?」

「うるさいなぁ。お腹が減ったの!」

「あぁ・・ごめん。ちょっと引っ張り回し過ぎた?でもほら、お腹減ってた方がご飯美味しいから」


悪びれもせずそう言うと、航平はニッコリ笑って、親指を立てた。


「じゃ、時間はいつも通り。今日の3教科分よろしく」

「・・了解」

「あ、ついでに温かい紅茶があると良いなぁ〜」

「はいはい」


あたしは力なくそう言うと、門を開けて家に入った。