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「おまたせ」


荷物をまとめて通用口に行くと、航平は下駄箱に寄りかかって携帯を覗き込んでいた。

あたしが声をかけると、携帯を閉じてニッコリ笑う。


「遅いよ。冷めちゃうかと思った」


ジャージのポケットに手を突っ込んだ航平は、「はい」と言って、あたしにミルクティーの缶を差し出した。

あたしが好きな銘柄のミルクがたっぷり入った温かいミルクティー。


「ありがとう」


あたしが受け取ると、航平はニッコリ笑って、足下に置いてあったスポーツバックを肩にかけた。


「じゃ、帰ろっか?今日の夕飯なんだろなぁ~・・」


ニコニコ笑いながら、歌うように節をつけている。


いつもの事だけれど、本当に変な男子。

優しいのに、掴めない。


小さく笑って航平の横に並ぶと、あたしはこっそり安堵の息をはいた。


あたしは昔から、航平と一緒だと安心出来る。

ただ一緒に居るだけで、航平はあたしの居場所を教えてくれている、そんな気がしていた。