ぼくは不思議だった...でもご主人さまの真剣な顔にぼくは何も言えなくなった。
 少し歩くとご主人さまは、
「やっぱり。ここはコウガイの町だ」と言った。
「コウガイの町?なんですかそれ。」ぼくが訊くとご主人さまは、
「水も空気も汚れた、耳障りな音が響く町だよ。だから絶対に、フードを被ったままでいろ」そんなご主人さまの顔は怖く見えた。
ここは、台風の村なんて清々しい場所ではなかった。人々は狂っていて顔色も悪い。そこら中で犯罪が起きていた。
「退け!」と突っ込んで来た人に吹っ飛ばされる。その拍子にぼくのスカーフは風に煽られ空へと消えていった。