ぼくはいつも通り目を閉じた。
「あんまり、閉じるなよ。綺麗な空見とけよな」とご主人さまは言った。ぼくが目を開けて、ご主人さまの顔を見る頃には顔は、太陽の光に隠されて、見えなくなったいた。
「ルシア。見ろ!海が見えるぞ」
「わぁ!」ご主人さまが言った方向を見ると、青色の海が広がっていた。
 ぼくが海に見惚れていると、体が落ちていくような感覚があった。
「ご主人!」ぼくが叫ぶと、
「心配すんな、落ちやしないよ。ほら、もうすぐ着く」と取れかかったぼくのフードを引き寄せて、頭から落ちていく。その光景をぼくは、初めて見た。
 「ほ!」と見事な着地をする。それと同時にぼくは地面に下ろされた。
「ここが五月町だ」そう言われ周りを見回すと、緑の木が道を囲み青空が広がっていた。
「僕らがさっきまで居たのが、四月町。ここは、緑生い茂る五月町だ」とご主人さまは誇らしげに言った。