焚き火から火が煌々とぼくらに照りつける。周りはもう真っ暗だ。
「ルシア。焼きリンゴ食べるか?」と言いながら、ご主人様は木の枝にリンゴを突き刺した。
「食べます」とぼくが言うと、にっこりと笑って、もう一本同じ物を作ると、焚き火の側に突き立てた。
リンゴの蜜の香りがぼくの食欲をそそる。
じわじわと焦げ目が付いていき、ぼくはリンゴに釘付けになった。
「まったく。熱いから気を付けて」と言ってご主人さまは、ぼくにリンゴが刺さった木の枝をくれた。
「フーフーフー」と息を吹きかけて冷ます。
「いただきます」とぼくはリンゴにかじりついた。
「美味しい!」ぼくが言うと、ご主人さまはまた嬉しいそうな顔をしていた。
 食事が終わり、ぼくは星を見る。年中雪が降っている国から来たぼくにとって、満天の星空は珍しいものだった。
「綺麗か?」と言いながらご主人さまはぼくの隣に座った。