なんという贅沢な時間だろう。
 普段、春哉くんが起きているときにこんなことはぜったいできない。

 むしろ今起きられたら恥ずかしくて逃げ出したくなるだろう。


 けれど春哉くんが起きる様子はなく、ギュッとすることに成功してしまった。


 今だけは私が春哉くんを独り占めしている。私だけの春哉くんだ。

 これもまた、幼なじみの特権なのかもしれない。


「まだ寝てていいからね」

 いま春哉くんが起きてしまったら、私は飛び上がるように離れることだろう。

 けれど春哉くんに追求されてしまえば、逃げられずに白状するしかない。