あれから、1ヶ月が過ぎたある日ーー。


梅雨の生温い雨に打たれて、帰って来た梓に無理矢理、シャワーを浴びさせて。

髪を拭きながら。


「今日、社長に来週から1週間くらい有給取って休めって言われた」


梓が、俺が社長に言われたのと同じ事を言って。


は?俺も言われた、と答えると。


「本当に、社長は蓮に言ったんだね。私が料理長も休まないと休みませんって言ったの…」


「はぁ……社長に押し切られて、真壁に休んで下さいって言われた…まさか梓がそんな事を言ってるとはな」


まぁ、いいんだけどな。

梓と1週間も離れずに居られるなら。


どうする?と。

振り返った梓の頭から、タオルをどけて。


「行きたい所ねぇの?」


髪をドライヤーで乾かしながら訊くと。


「ないんだよね…蓮は?」


「俺もないんだよな…」


「そっか。じゃあ、私と同じ?」


「そう、同じ。家でのんびりしたいんだろ?」


「うん!私の身体は蓮との楽しい休息を求めてる!」


じゃれるように抱き付いてきた梓を受け止めて、額を合わせて笑い合って。


「それなら、梓の身体に癖になるくらい俺を覚え込ませてやるよ」


「もう…癖になってるけど?」


「もっとだ」


えー…っと言いながら、嬉しそうに腕の中から離れようと、身体を捩る梓に。

逃がさねぇよ、と腕に力を入れて、唇を重ねれば。


「もう……蓮はどれだけ私を愛してるの?」


そんなの決まってんだろ。

聴かなくてもわかるだろ。


「言葉じゃ足りないくらい。梓が思ってる以上に……だな」


自分で聴いたくせに、顔を赤くした梓が可愛くて。

また唇を重ねれば、もっと、とねだってくる。


だけど、今は………



「腹減ってるんだろ?俺も減ってるし、食べてからだ!」


「うん、わかった。今日は何?」


「梓の好きな物」


「私の好きな物……?……明太子パスタ?」


「正解!ほら、座って待ってろ」



食べ終えてから、梓が洗い物をしてくれている間に。

俺もシャワーを浴びて、ベッドでじゃれ合う。

自然と唇を重ねて、舌を絡ませれば。

満たされない身体が疼いて、

梓の身体を好きなだけ弄んで、肌を重ねる。


お互いに、息が落ち着いてから裸のまま、じゃれ合って笑い合う、

この瞬間が、堪らなく愛おしい。



1週間の休み、覚悟しとけよ。

ずっと我慢してた分、抱いて抱いて。

今以上に溺れさせてやる。