ああだめだ、瞬きしちゃう。


思った瞬間に涙がぽろ、とこぼれた。

私の涙を見た壱はうろたえもせず私の顔を掴んだまま、視線を明後日のほうに向けてはーと、お昼同様のため息をつくから。



「な…なんのため息、それ…」

「分からず屋へのため息」

「なんで怒ってんの…」


震える声で言うと、また涙がこぼれてしまう。


「やっぱ泣くし」

「やっぱってなに…」

「だから俺が仁乃の食べるって言った」



私が泣くことになるから、私のお弁当食べるって言った?

どういうこと。難しい。



「しょーもない嘘ついてないでさっさとお弁当出しなよ」



私のほうに戻ってきた視線で見つめた壱が言うから。



「なんで、ばれるの…?」



ふにゃ、と顔が崩れてしまう。


情けない顔してるんだろうな、壱はガン見してるけど自分じゃきっと目もあてられない。