ミートボールや唐揚げ、男子の好きそうな定番おかずのなかに、当然狂気的おかずはない。
卵焼きだって普通の。
それを文句も言わずに黙々と食べる壱は、一瞬も私を見ずに。
「お茶」
そう言うので、私は黙ってペットボトルを差しだす。
なに、怒ってんの…。
てか怒ってるくせに私のお茶飲むなよ…。
そんで私も普通に渡すなよ…。
少し泣きたくなったけど、ぐ、とこらえて自分で作ったお弁当を食べる。
壱に冷たくされることに慣れていないのだ、私は、全然。
なぜなら私が絶望的に壱に甘い以上にいつも、壱が私に甘ったるいから。
壱がぺろっと空にしたプラスチック容器のそれは、きっと洗って返さなきゃならないだろう。
「・・・・・・・・・・」
そしてまた、昼休み終了のチャイムが鳴った。