前からなんのため息なのそれ…。

そう聞こうとしたら。



「分かったもう仁乃なんて知らね」



壱は呟くように言って、かわいい巾着袋を長い指で器用にするする解いてお弁当を食べはじめる。

ご丁寧に割り箸までついているから、さすがサラサラ女子。


私も自分のお弁当箱を開けて、食べはじめる。

なんか味しない。



「・・・・・・・・・・」



重苦しい沈黙のなかで、自問自答。

私、なんか間違った?

いや全然。

全然正しいでしょ。幼なじみとして当然の行動でしょ。


でも心のどこかで。


私の影に隠れたミニトートのなかの狂気的おかずが、泣いてる気がして。



そのイメージをかき消すように、壱の食べているお弁当を見た。