「違うクラスだけどあのずっと相原くんのことかっこいいなって思ってました、これよかったら…」



一息に言ったサラサラ女子は、壱の前にかわいい風呂敷に包んだお弁当箱を差しだした。


わーお、告白のアイテムにお弁当って古風で最高にかわいい。


呑気にそんなことを考えながらも必死に空気になっていたのに、壱がばっちり私を見た。

見ないで、こっちを。

そしたらやっぱりサラサラ女子も私を見て、キッと鋭い目で私を睨む。



壱の幼なじみあるある、壱好きの女にとって隣の私は、


≪敵か空気か≫


今回は、敵でした。


私は明後日のほうを見て、無関係を装う。



『幼なじみだからってあんた何様?べたべたしないでよ!』



今まで入れ代わり立ち代わり現れる壱好きの女たちに何度言われたか分からない言葉を頭に浮かべて、ある程度の覚悟をしていると。

サラサラ女子はありがたいことに私にはなにも言わず、無理矢理壱にお弁当を押しつけて去っていった。

感謝。さすが高校生。



背後から理沙子と光太郎くんのバカ騒ぎが聞こえるなか、私と、お弁当を片手に持った壱のあいだには微妙な沈黙。