「壱~最近お前がおらんからトランプ人数足りね~ぞ」


3限終了のチャイムが鳴って昼休み、壱と一緒に廊下に出ようとした時、光太郎くんに声をかけられた。


あ、トランプ?いいじゃん壱行ってきなよ行ってきなよ!
ぱあっと笑顔でそう言おうとした時。



「光太郎いらんこと言うな」

「光太郎ほんと空気読めなさすぎて無理~」


理沙子と新田ちゃん登場。


「だって大貧民、3人じゃ盛り上がらん…」

「あたしらも入ってやるから」

「え~私はやだです~」

「新田はかわいい顔して冷たいんだよ!」



野次馬3人組(もはや記者はいない)に、足止めをくらった。

壱の首に巻きついて軽くヘッドロックをしようとする光太郎くんは、壱より背が低いから壱にぶら下がるみたいになっている。


「あーあ、いいよなあカップルでおべんと」



光太郎くんが言うと、壱が、ふん、と鼻を高くするのが分かった。

たぶん他の人には分からない変化だけど、かわいいんだこの表情が、と思うけど喜んでいいのかは微妙な流れ。



「カップルじゃないけどね…」


聞いてもらえるとは思ってないけど一応訂正しておくと、やっぱり聞いてない光太郎くん。