定位置になりつつある、中庭のベンチ。
壱の隣で自分の普通の卵焼きを食べながら途方に暮れていると、中庭を通りかかった女の子の集団がこっちに近づいてきた。
「あ、壱だ~」
違うクラスの同級生、少し派手めな女の子たち。
ネイルが綺麗だったり、唇がピンクだったり、いい匂いがしたり、スカート短すぎたり…同性の私から見ても女子力むんむん。
理沙子系統、つまりギャルめ。
きゃっきゃきゃっきゃと、すぐに壱は女子力むんむんに囲まれた。
「相原が中庭にいるなんて珍しい~」
「なにしてんの~?」
「昼食べてる」
「昼食べてる、だって~かわいい~」
「たまにはうちらとも食べよ~よ」
「…てかこちらってもしや噂の幼なじみちゃん?」
女子力集合体の好奇の視線を一斉に浴びて、私は冷や汗をかいてしまう。