お弁当を食べながらため息をついた時、壱が私のお弁当を見て。
「さっきのタコ俺にもちょうだい」
私に向かって口を開けた。
あの変なパンはもう食べ終えたらしい。
ていうか18歳の男の子がお昼に菓子パン1個って…。
壱は昔から少食で心配になる。
私は仕方なく、お弁当箱にまだいるウインナーを箸でつまんで、壱の口に入れた。
「壱、もっとちゃんと食べた方がいいよ」
「んー」
「んーじゃなくて、真面目に本当。これから暑くなるんだし、夏になったらすぐバテるよ?」
「じゃー仁乃、明日から俺の弁当も作ってよ」
ウインナーを飲みこんだ壱がちらり、私を横目で見て言った。
「なんでよ」
確かに昔は遠足の時のお弁当とか、壱の分まで用意したこともあったけど。
「仁乃料理うまいし」
「ええ…」
「仁乃のご飯最近食べてないし」
そう言われればそうだ。