なんだ、やっぱり壱は私の知ってる壱だな。

ほっとしてウインナーを食べようと口を開いたら。



「段階踏んでやってるだけだから安心はしない方がいい」



そう言われてぽろり、赤いウインナーがお弁当箱のなかに落ちた。


だんかいふんでやってるだけだからあんしんはしないほうがいい…。


壱の言葉が頭のなかでぐわんぐわん反響する。



「…タコ落ちた」



たこおちた、たこおちた、たこおちた…。

いやそれは反響しなくていい。



私のお弁当箱からひょいとウインナーをつまんで、私の口元まで持ってくる壱。

されるがままに口を開くと、壱の指からウインナーが口内へ。



恥ずかしくて必死に咀嚼していると壱はご機嫌そうに私の顔を覗きこんで、


「おいし?」


なんて聞いてくるので、私はとりあえずこくこく頷く。


頭のなかでは昨日使いまくったバツ印の札を上げながら。