「なんだ」


残念そうに前を向いてまたパンを齧って、もう読むのやめよ、と呟く壱。

だめだ、もう壱のスタンガンみたいな問題発言を私は止められない気がする。


…とにかく用件だけは聞かないと。



「なんでお昼、一緒に食べるの?」



ちらり、壱が横目で見てくる。

ああ、愛くるしい綺麗な横顔、ぱっちりの二重高い鼻に薄い唇に長い睫毛柔らかい黒髪…、控えめにいっても尊い。



是が非でも守らなければ…この手で…。



「なんでって…実験だけど」

「え、これが実験?お昼、一緒に食べるのが?」

「そうだけど」


壱は言って、ふわわ、と欠伸をしてから。



「もっとハードなの期待してた?」



とんでもないです!!!

私は首を横にぶんぶん振る。


お昼を一緒に食べるだけですませてもらえるなら万々歳です。