私を不審げに見つめる2人になにも言えないまま、ミニトートからお手製のお弁当を取りだそうとした時。



「「あ、相原」くん」



理沙子と新田ちゃんの声が重なって聞こえて、私は背筋をギュインと正す。



「理沙子と新田ちゃん」


壱の、低く滑らかな声も背後から聞こえる。



「新学期も溺愛だなー」

「新学期もイケメンだねえ~」

「どーも」



頑なに振り返らず、3人の呑気な会話を聞いていると。

後ろから壱の長い手が伸びてきて、私のミニトートをひょいと奪った。



「ちょっとお弁当…」



つられて振り返ると、壱は私じゃなく理沙子と新田ちゃんを見て。



「食後、お菓子パーティーしようとしてた?」

「うん、仁乃ハピバだからな」

「ごめんだけど後日にできる?」

「全然できるよ~」

「じゃー仁乃、もらうね」



なにを勝手に…。

私は今日、春休み明け久しぶりに理沙子と新田ちゃんとお昼をだな…


「「どうぞ~」」


あっさり手を振る友人2名。


そんなバカな!!!