「ホームルーム中に堂々と話しこむなー?」



ペンで頭を掻きながらプリントに目を落として慣れっこみたいな顔をするなっちゃんに言われてはっと我に返ると、クラス中が私たちを見ている。


みんなももう慣れっこみたいな顔で。

付き合ってあげてますみたいな顔で。



「先生、今大事な話してるんで」


壱が首だけで前を向いてなっちゃんに向かって言うと、なっちゃんはようやくプリントから目を離して私を見た。


「そうなのか2番?」

「ぜんっぜん!!」


ただの世間話に他なりません!


「ただの痴話喧嘩ならホームルーム外でやれ?」


そんなことを言われて、教室がくすくすと笑いで満たされた。


壱は飄々としていつのまにか前に向き直っている。


なっちゃんは教師のくせに壱のノリに付き合いすぎ、ていうか壱に甘い。