だってもう18歳。
やる気がないだけで、やればなんでもできてしまう壱だ。
頭よくて要領よくて運動神経よくて顔もよくて…。
そんな壱が18歳…。
ほ、本当に、なんだってできてしまう…!
謎の機械持ちだしてきて私の脳みそいじくってみたり、謎の飲み物持ちだしてきて私の内臓いじくってみたり…そういうマッドサイエンティスト的なことするんだきっと…。
壱、理系だしね…。
新学期の教室、前から2番目の自分の席で恐怖の妄想に頭を抱えていると。
前の席から壱が私のほうを振り返った。
椅子に跨って座って、身体ごともうこっちを向いている。
両手を椅子の背もたれに乗せて。
前を向かんか、前を。
「仁乃」
低く柔らかい声で呼ばれて、頭を抱えたまま視線だけで壱を見た。