彼は何も言わず、静かに私を指さした。

「、、、?」
「何、、、?」

すると、彼は焦ったようにほかの子たちを指さし始めた。
そして、どこかに行ってしまった。
訳が分からなかった。

私たちの話を聞いていたのか、聞こえていなかったのか。私を指さした意図を汲み取れずにいると、

〈裕の好きな人は○○ちゃんだよ。〉

と先輩に言われた。

私、、、?

そんなの嘘だ、あり得ないという気持ちと、もし本当にそうならいいのにという気持ちが入り混じっていた。

とりあえず本人からそんな話が出るまで期待しないでいよう。
彼の好きな人の話は聞かなかったことにしよう。
そう決めた。