でも、そんな私にもチャンスが訪れた。部員たちのことを徐々に分かってきたころ、絵麻が学校にプロフ帳を持って来たのだ。プロフ帳は当時小中学生の間で流行っていたもので、新しい友達が出来ると書いてもらっていた。書くこととしては、あだ名や誕生日、好きな芸能人などありふれたこと。でも、他にも恋に関する質問欄があった。好きな人はいるのか、好きなタイプは。そしてイニシャルなど。

これしかない。
そう思った。次の日、私は早速学校にプロフ帳を持っていき、部員に用紙を配って渡した。もちろん松浦にも。

「これ、書いてくれない?」
『分かった。ありがとう。』

たったそれだけの会話だったが、彼と直接話せたことが何よりも嬉しかった。