『キーン コーン カーン コーン』


チャイムが鳴った。

予鈴だ。


タイミングが良いか悪いのか。

予鈴を聞いた会長が、私から離れる。

それが少し寂しく感じた。



「……行くか」



素直に頷けない私。


だって。

好きって思ってしまったら。

離れたくないって思ってしまう。

こんな気持ちになるのは私だけなの?


なかなか動かない私。

そんな私の頭に会長の手が置かれる。



「なんて顔してんだ」



そう言って笑う会長。



「授業に遅れるぞ?」



そう言われてしまえば、私も教室に戻るしかない。

ひとりでこの教室にいたって仕方がないもんね。


私は会長につづいて、空き教室を出た。

教室の施錠を確認する会長の姿を見つめる。

その姿に向かって心の中で祈った。


今だけでいいから。

この幸せを感じていたい。


今だけでいいから。

会長の笑顔を見たい。