褒めてもらって、女の子扱いされているのに、嬉しいと思わない自分がいる。


だって。

何も喋らない会長に目を移す。

会長の前で、頭を撫でて欲しくない、と思ってしまう。


この姿を見られるのが嫌だ……。



「もー。子ども扱いしないでよ」



私は笑顔を作りながら、さりげなく理樹くんの手を振り払う。

理樹くんと彩菜先輩は笑っていたけど、会長は笑っていなかった。



「お昼ご飯、食べないとっ」



私はみんなの視線から逃げるように、いつもの席に座ろうとしたそのとき。


ガタッ!


椅子が倒れる音がしたと思ったら、会長が不機嫌そうな顔で私に向かって歩いてくる。



「北澤。……来い」

「えっ」



菓子パンの袋を開けようとした手を掴まれ、思わず目を見開く。

しん、となる生徒会室。


そんなことはおかまいなしに、会長は手を掴んだまま引っ張っていく。