「あーっ! お兄ちゃん!」



この静かで熱いような空間を破ったのは。



「……夏樹」



夏樹ちゃんだった。

起きたばかりなのか、パジャマ姿だけど、元気のよさは昨日と変わらず。



「美雪ちゃんを襲わないでっ」



会長の手が頬から離れたと思ったら、夏樹ちゃんが勢いよく抱きついてきた。



「美雪ちゃん、おはよっ」



私に抱きついた夏樹ちゃんは可愛い。

ぴょこん、と寝ぐせのついている髪の毛も少女らしくて愛らしい。

私は思わず、夏樹ちゃんを抱きしめた。



「夏樹ちゃん、おはよう」



寝ぐせではねている髪の毛を撫でてみる。

撫でてみるけど、寝ぐせは直らなかった。


うーん。

撫でるだけじゃダメかぁ。


なんて考えていると。



「夏樹。……北澤から離れろ」



会長が私から夏樹ちゃんを引き剥がす。


頬を膨らませる夏樹ちゃん。

そんな姿を見てしまったら、ずっと抱きしめたくなるじゃないか。

昨日、初めて出会ったばかりなのに、可愛い妹って感じがする。