翌朝。

目が覚めると、一瞬、自分がどこにいるのか分からなかった。


体を起こして数秒。

隣には夏樹ちゃんが寝ている。


そうだ。

私、高橋家にお世話になることになったんだ。


昨日、シャワーを浴びたあと、会長に髪の毛を乾かしてもらって……。


思い出して、顔が熱くなる。

会長の手のぬくもりとか、やさしい手つきとか、鮮明に思い出してしまう。


ああっ。

会長にどんな顔をしたらいいのか分からない。

だって、髪の毛を乾かしてもらっているとき、夏樹ちゃんが2階の部屋から降りてきて、その姿をバッチリ見られてしまった。



『お兄ちゃん、ずるい!』



夏樹ちゃんは、髪の毛を乾かしてもらっている私の腕を掴んで、2階へ引っ張っていった。

それから夏樹ちゃんと少しおしゃべりしたあと、隣に布団を引いて一緒に寝たんだ。


会長はあれからどうしたんだろう。

髪の毛を乾かしてもらったのに、お礼も言っていない。


……言ったほうがいいよね。


私は、夏樹ちゃんを起こさないように布団から出た。