「……ごめんなさい」

「俺は」



私を抱きしめる腕が強くなる。



「お前の彼氏なんだから。もっと頼れよ……」



その言葉にのせて、会長の思いが私に伝わる。


“彼氏”。


改めて“彼氏”と言われるとなんだか照れくさくなる。

会長は“彼氏”なんだもんね。


私は会長の腕に、そっと触れた。


男らしい会長の腕。

大好きな、会長。



「……会長」



私は、会長の腕をほどいた。

離れる会長の腕。

会長を見れば、私の行動に驚いた表情をしていた。



「会長が大好きです」

「っ、」

「そう伝えられるのは、“彼女”の特権ですか?」



自然と笑顔になる。

そのまま、少し背伸びをして。


ちゅっ。


会長の唇にキスをした。

触れるか触れないかの一瞬のキス。