会長の言葉を思い返す。


『付き合っているんだろ』


会長が呟いた言葉。


それって……。

私と理樹くんが付き合っている。

そう、会長はとらえたの?


付き合っていないのに。

ただの幼馴染なのに。

会長は誤解している。


私が好きなのは会長なのに。

好きな人から言われる言葉って、こんなにも胸に刺さるんだ……。


私は、力が抜けたようにその場にしゃがみこんでしまった。

この一部始終を見ていた夏樹ちゃんが私の隣にしゃがむ。

その小さな手が、私の背中をさすってくれた。



「美雪ちゃん……」



笑わなきゃ、夏樹ちゃんに心配をかけてしまう。

だけど笑顔じゃなくて、涙があふれてきた。

涙がぽろぽろと流れてくるのを隠すように私は膝に顔をうずめた。

だけど、泣き声は隠すことができなくて。


こんなにも私って弱かったのかな……。



「聞いていいのか分からないけど……」



背中をさすってくれていた夏樹ちゃんの手が止まる。