「弟よ、おはよう」
朝。美緒んちから帰宅して洗面所で姉貴に鉢合った。
「よくも謀ってくれたな」
「なんのことかなぁ?」
「すました顔で呑気に髪いじってんじゃねぇわ。俺が40度の高熱って、ありえないだろ!まぁ、信じる方もあれだけど」
確かに少女漫画に当てられて少しグッタリしてたのは事実だとしても。
「いいじゃん。朝まで一緒にいたんでしょ。彼氏から力ずくで奪い取った?ついに付き合う日が来たの?」
めちゃめちゃ楽しそうなのは、姉ちゃんの思惑通り事が運んだ証拠だ。
「熱だしたのは美緒の方、39度越えたときはマジ焦ったって」
「それ……ほんと?」
姉ちゃんがこっちに詰め寄ってきた。