「おい、バカ弟」
「なんだよ変態姉貴」
帰宅して、階段を登りかけてたところを邪魔された。覚悟は決まっていたのに。
「サキちゃん無事に送り届けたの?」
「さっき塾まで送ったけど」
そう返事したら見るからに重そうな封筒を目の前に差し出された。
「はいこれバイト代」
「小銭が入ってない?」
「ガム買った」
もう何も突っ込んでやらない。
それどころじゃない。
「……まぁいいわ。ありがとうございます」
相変わらず自由すぎる姉貴につっかかるのはやめて、受け取って中を確認した。
「なんか、少なくない?」
使ってる。
この人俺が稼いだ金使い込んでる!
「雨が降りだしたからさっき美緒ちゃんを迎えにいったんだよ。ちゃんと送り届けたからね。まずはその分のお金を引いてある」
「……あいつに会ったの?」
体内の血がざわつく感覚。
でもそれ以上何も聞けない。