「翔ちゃん……さむい」


玄関先にうずくまってずっと自分のカラダを抱きしめているけれど、歯のガチガチが止まらなくなってきた。


濡れて帰ればこういうハプニングにも見舞われるから、だから翔ちゃんは濡れちゃダメだって言ってたんだ。


なるほど。
今それを痛感してる。


翔ちゃん私がバカでした。
言うこと聞かなくてごめんなさい。
これからは傘を持つようにします。


寒くて、心細くて、
膝をぎゅっと抱いた。


「美緒?そんなとこでなにしてんの……」


顔を上げたら息を切らした翔ちゃんが立ってた。


「翔ちゃん……」


顔を見たらホッとして涙が込み上げてきた。