2034年 5月1日 彗星内スラム街にて―

亜紀は、肩で息をしながら私に「足早すぎっ。」と言ってきた。早いと言われても、それについて来れる亜紀も早いと思うという意見は心の中に秘めておいた。
「ねぇ、亜紀ちゃんもしも、私が君を……君を好きって言ったらどうする?」
「新一さん、それ冗談ですよね?」
「どうするか聞いてる。」
「まぁ、確かに嬉しいですけど、年の差的に無理じゃないですか?」
「この世界だとたった3歳しか違わないの知ってる?」
「確かにそうでしたね。ただ私なら丁重にお断りします。だって私よりいい女はどこにでも居ますから。」
「あぁ、受け流されちゃったか。私はずっと……だけどな。」
「え?なんですか??」
「だから、あの、えと……。好きなんだよ。ずっと君のことが。」
「言いたいことは、分かったから。それ以上なんも言わないで。」
亜紀は、頬を赤らめて私の唇を人差し指で抑えた。その行動を可愛いと思ってしまった自分がいるのに、さっきの言葉を後悔している自分もいた。やっぱり変質者だ私は。
「返事は無くても大丈夫だから。」
「いや、返事は今ここで言っちゃう。」
「えっ!いやっ―」
「よろしくお願いします。」
「えっ!」
「気づいてましたか?私ずっと新一さんの事好きだったんですよ?」
「そ、そうなんだ。」
「ていうか、僕でいいの?」
「新一さんってほんとうに鈍感ですね。」
「ど、鈍感!?」
「あははっ。告白する勇気があるくせにそういうのは、知らないんですね。」
「うっ……。」
「まぁ、そんなこと気にしないでください。」
「わ、分かった。」
「とりあえず、翔太たちの所へ帰ろう。」
「はい。」
そうして、私たちは翔太たちが戦っている場所へ戻った。