2034年 4月1日 彗星にて―


午後7時30分 軍工場
「おいお前!ちゃんと働け!」
「っ……!」
気が付くと、私の手は止まっていたらしく、桜さんに怒られてしまった。彼女の名前は、如月桜、私たちの1年先輩である。翔太に一目惚れしたらしく、この惑星に来てから1日で付き合っていた。私としては翔太のどこがいいのかよく分からない。確かに顔は良い。だが、性格がやばいそんな男とよく付き合ってられるよなと思っていた。なのに気づけば2人は4年も付き合っていた。
「よく付き合ってられるよな〜。」
「《H.35》うるさいぞ!」
「あーすみません。考え事をしてしまって。」
「あーそうか、なら早くやれ。」
そうして、私はまた作業を再開しながら考え事をした。
(亜紀ちゃん元気かな〜。)
亜紀とは、私が秘かに思いを寄せる相手である。彼女は、私たちの3年先輩である。14歳の時に飛ばさ
れて以来ずっとここにいるらしい。そのせいか、彼女の、精神年齢はまだ14歳のまま支配者になってしまったのである。
そんな熟れる前の自分を忘れてずっと辛い思いをしてそのまま熟れた果実へと、成長してしまった少女に対して私は、守ってあげたいという感情が芽生えてしまった。だが、今は、こんなこと伝えたらただの変質者である。だからこそ私はこの気持ちなんて秘めたままでと思ってしまった。それからもう、2年が経っている。