彗星事件
染谷 莉栗


２０３４年 ４月３０日 彗星にて―



私は、今まさに目の前にいる、髙畑亜紀に、自分の想いを伝えようとしていた。
｢あの、えと……。す―。｣


＊


２０３４年 ４月１日 彗星にて―



私は人間である。
しかし、この惑星で《Ｈ．３５》と呼ばれている。これは、私の奴隷番号である。どうやらこの惑星で、私たちは番号が決められているようだった。
いつもは、その番号を使っているので本名を使うことが少なくなり、時々忘れてしまうことがあるくらいなのだ。その度に《Ｈ．３６》改め《滝沢翔太》に、聞いて思い出しているのである。最近は本当に忘れてばかりだからすごい申し訳なくなってきている。
慣れたように言ってる理由は、すごい簡単で私がこの惑星に来て４年が経っているからである。
ただ、４年経った今も分からないことが、なぜ私がここに飛ばされたのかである。