学校が終わり、俺と灯は家に帰った。


今日は早く帰れと言われたから、断る理由もなく。


「ただいまー」


リビングに入ると、父さんが帰っていて、朝と同じようにコーヒーを飲みながら俺と灯に手を挙げた。


「おかえり。しっかり勉強してきたか?」


「まあ、それなりにね。父さんも帰りが早いじゃない」


「俺ももう60過ぎてるんだぞ? まだ働かせるつもりか」


なんて会話をしながら、父さんのスマホをチラリと見るけど……父さんには招待状は届かなかったのかな。


カバンを床に置き、弁当箱を取り出して台所で晩御飯を作っている母さんに手渡した。


「あー……お姉ちゃんはまだ帰ってないのね。そっかそっか」


なんか灯のやつ、今日は様子がおかしいよな。


俺にとっては母さんの命日でも、灯からすれば何でもない日だろうにさ。


「光は学校が遠いから仕方ないわね。あなた達三人が同じ学校だったら心配もしなくて済んだのにね」


「まあ、俺と灯の頭じゃ、今の学校がやっとだったって感じかな。姉さんは頭が良いから」


ソファに腰を下ろしてそう言うと、灯はムスッとした様子で。


「馬鹿で悪かったわね! 葵はお姉ちゃんが大好きだもんね! お姉ちゃんも葵に甘いしさ。だから調子に乗るんだよ」