その声には聞き覚えがあった。


と言うよりも、宗司からすればいつも間近で聞いていた声だ。


「ん? おわっ! 舞美さんじゃないっすか! なんでこんなところに!」


そこに立っていたのは舞美。


哨戒任務に出ることが多く、西軍で一緒に行動しない時は常に偵察に出ている女性だ。


「なんでって……私には哨戒任務があるからね。秋葉原の方に移動する鬼や、侵入者を仕留めたりしてる……って、宗司くん達がここにいる方が不思議なんだからね?」


舞美はチラリと沙也香を一瞥し、軽く頭を下げた。


「いやあ、さっきとんでもなくつええ鬼がいて。俺の親父もそいつらと一緒にいたからぶっ殺してやったんすよ。で、今その祝勝会みたいな感じっすかね」


手に持ったおにぎりを見せて、ニカッと笑って見せた宗司に、舞美はため息混じりに首を横に振る。


「ずいぶん囁かな祝勝会じゃない。お金がないなら私が奢ってあげようか? どこか近くのお店に入って、美味しいもの食べようよ」


「おおっ! 美味しいもの食べられるのか!? 舞美、太っ腹だな!」


蘭子は目を輝かせて舞美の方を見たが、宗司は小さく「ハッ」と鼻で笑った。