〜チャペル前〜


葵達が雷門に向かった直後から、真治と名鳥達は戦闘を開始していた。


日本刀を逆手に持ちかえ、鞘を左手に構える戦闘スタイルで、襲い掛かる猛者達の攻撃を、真治はまるで背中にも目があるかのように回避し続ける。


「真治! お前なら賛成してくれると思ったが、残念だよ! お互いに葵の父親、子供の幸せを願っていると思ったがな!」


名鳥の槍の先端が、真治が回避した先に突かれる。


身体を捻って鞘でそれを下から打ち上げ、背中から地面に倒れて足を振り上げて、下ろした反動で起き上がり、名鳥に足払いをかける真治。


転んだ後ろから昴が飛び掛かり、似たような戦闘スタイルで真治と打ち合う。


「お前達は何もわかっていない! あの娘は、この街にいるから生きていられるんだぞ! それがわからないのか!」


昴の攻撃を防ぎながら、篠田の攻撃をも回避して、惜しい所で真治に攻撃は当たっていない。


「チッ! こいつ化け物かよ! この人数を相手に、こうも避けられるのか!?」


篠田にとっても、これほどまでに手応えを感じない相手は初めてだった。


倒せる、倒せないの話ではない。


繰り出す攻撃の全てが当たらないのだから、それ以前の問題なのだ。