俺は……いや、俺達は何を間違えたのだろうか。


灯はキングを破壊した。


これでこの街から出られるはずなのに。


どこで何を間違えたのか。


途中で言葉を止めて、ガックリと崩れ落ちて地面に膝をついた宗司。


そして、隣にいるはずの灯を見上げている俺。


「フーッ! フーッ! グルルルルルル……」


「そんな……嘘だ。だって灯は今、キングを破壊しただろ? この街から出られるはずだ」


もう、そこにいたのは灯ではなかった。


人を食う化け物。


津堂が人体実験で生み出した、人の心を持たない……灯「だった」ものがいるだけだった。


なんで……こうなった。


灯は俺がいたら、化け物にはならないんじゃなかったのか?


化け物になってしまったら、もう二度と灯には戻らないんじゃないのか?


もう……助けられないのか。


「グルルルルルアアアアアアアアアアアッ!!」


「あああああああああああああああああああああああああああああっ!!」


灯は元には戻らない!


もう二度と、あの笑顔を見せてくれない!


どうしてこうなった!


何を間違った!


どうして!


どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!!






灯が振り上げた腕を見ながら、俺は頭を抱えて涙を流すことしか出来なかった。