皆が戦っている。


俺達の為に、とてつもなく激しい戦いを背後で繰り広げている。


「良いか葵! お前は灯を逃がしたら、すぐに南軍に行くんだぞ! 絶対にこの街に残るなんて考えるな! 灯を一人にさせたら、俺が絶対に許さないからな!」


ほんの少しだけ考えていたことでさえも、宗司に釘を刺されて。


宗司からしてみれば、灯のことが好きで、それでも俺と結婚するのを祝福して、幸せにしなかったら許さないということなのだろう。


「ごめんね宗司。本当にありがとう。私も葵も幸せになるから……」


「へっ! やめろよ。ありがとうだけ受け取っておくぜ。俺にはよ、今はもう蘭子って可愛い彼女がいるんだよ。絶対にお前らより幸せになってやるから、羨ましがるんじゃねぇぞ!」


本当に宗司は良いやつだ。


ちょっと抜けてるところがあるけど、底抜けに明るくて、いつも俺達はそれに助けられて来た。


そんな大事な友達に見送ってもらえるなんて、俺達は幸せだ。


皆が高山真治を足止めしてくれている間に、何とか雷門までやって来た。


正面にある風神雷神像の後ろ……龍神像の所にやってくると、暗くてわかりにくいけど、確かに金色の像があったのだ。